Python でテスト自動化を始めるには、まず環境構築が必要です。「インストールはできたのにコードが動かない」「venv って何?」という初心者のつまずきを解消するため、Windows・Mac それぞれの手順をコマンド1行ずつ丁寧に解説します。
📌 この記事の対象読者
| ✅ Python を初めてインストールする方 |
| ✅ 「venv(仮想環境)って何?」という方 |
| ✅ Selenium・Playwright・pytest を使ったテスト自動化を始めたい方 |
| ✅ コマンドラインが初めてで不安な方 |
📖 この記事を読むとできること
| ✔ Python をインストールして動作確認できる(Windows・Mac 両対応) |
| ✔ venv(仮想環境)を作ってプロジェクトごとに依存関係を管理できる |
| ✔ pip でライブラリをインストールできる |
| ✔ VS Code の設定を整えて快適に開発できる |
| ✔ よくあるエラー(PATH・文字コード・バージョン違い)に対処できる |
筆者は複数のプロジェクトで Python × Selenium・Playwright・pytest を使ったテスト自動化を実践しています。
新しいメンバーに環境構築を教える際、毎回つまずくポイントが決まっていることに気づきました。
本記事はその経験をもとに、初心者が実際にはまりやすい箇所を先回りして解説しています。
✅ この記事のゴール
- Python がインストールされ、
python --versionでバージョンが表示される状態 - venv で仮想環境を作成・有効化できる状態
- pip で pytest をインストールして実行できる状態
環境構築の全体の流れ
| ステップ | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| ① | Python をインストールする | 5〜10分 |
| ② | インストールを確認する | 1分 |
| ③ | venv で仮想環境を作る | 2分 |
| ④ | pip でライブラリをインストールする | 2分 |
| ⑤ | VS Code をセットアップする | 5分 |
| ⑥ | 動作確認する | 2分 |
① Python をインストールする
Windows の場合
1. Python 公式サイトからインストーラーをダウンロードする
ブラウザで python.org/downloads にアクセスし、Python 3.12 系のインストーラーをダウンロードします。最新バージョンは一部ライブラリが未対応の場合があるため、1〜2バージョン前の安定版が無難です。
2. インストーラーを実行する
ダウンロードした .exe ファイルを実行します。起動直後の画面で必ず以下を確認してください。
インストール画面の一番下に表示される
Add Python to PATH のチェックボックスを必ず有効にしてから「Install Now」をクリックしてください。ここを見逃すと後でコマンドが動かなくなります。
3. インストール完了後、コマンドプロンプトを起動する
スタートメニューで「cmd」と検索してコマンドプロンプトを開きます(または「Windows + R」→「cmd」→ Enter)。
Mac の場合
Mac には最初から古い Python が入っていますが、テスト自動化には新しいバージョンを別途インストールすることを推奨します。
Homebrew を使う方法が最もシンプルです。Homebrew のインストール自体が難しいと感じる場合は、python.org/downloads の公式インストーラーを使っても問題ありません。
1. Homebrew がない場合はインストールする
ターミナルを開いて(「Finder」→「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」)、以下を実行します。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
2. Homebrew で Python をインストールする
brew install python
② インストールを確認する
インストールが完了したら、コマンドラインでバージョンを確認します。
# コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Mac)で実行
python --version
正常な出力例:
Python 3.12.3
Mac では
python コマンドが古いバージョンを指すことがあります。python3 --version で確認し、バージョンが表示されれば問題ありません。python3 で動く環境はそのまま使えます。pip(ライブラリ管理ツール)も確認しておきましょう。
pip --version
# または
pip3 --version
正常な出力例:
pip 24.0 from /usr/local/lib/python3.12/site-packages/pip (python 3.12)
③ venv で仮想環境を作る(重要)
venv(仮想環境)とは何か?
venv とは、プロジェクトごとに独立した Python 環境を作る仕組みです。
たとえば以下のように、プロジェクトごとに必要なライブラリのバージョンが異なる場合でも、仮想環境を使えば互いに干渉せずに管理できます。
| プロジェクト | 必要なバージョン |
|---|---|
| プロジェクト A(新規) | selenium==4.20 |
| プロジェクト B(既存) | selenium==4.8 |
仮想環境なしで全プロジェクト共通の Python を使うと、バージョン衝突で動かなくなるケースが頻発します。
最初は手間に感じるかもしれませんが、プロジェクトを複数持ち始めると必ず役立ちます。最初から習慣にしておくことを推奨します。
仮想環境の作成手順
1. プロジェクト用のフォルダを作って移動する
# フォルダを作成
mkdir my-test-project
# フォルダに移動
cd my-test-project
2. 仮想環境を作成する
python -m venv venv
# Mac で python3 が必要な場合:
# python3 -m venv venv
venv というフォルダが作成されます。この中に仮想環境のファイルが入っています。
この時点でのフォルダ構成はこうなります。
my-test-project/
├── venv/ ← 仮想環境(Git には含めない)
├── test_sample.py ← テストファイル(後で作成)
└── requirements.txt ← ライブラリ一覧(後で作成)
3. 仮想環境を有効化する(activate)
# Windows(コマンドプロンプト)
venv\Scripts\activate
# Windows(PowerShell)
venv\Scripts\Activate.ps1
# Mac / Linux
source venv/bin/activate
有効化されると、コマンドプロンプト/ターミナルの先頭に (venv) と表示されます。
(venv) C:\Users\yourname\my-test-project> # Windows の例
(venv) yourname@mac my-test-project % # Mac の例
この (venv) が表示されている間は仮想環境が有効です。
作業を始める前に毎回 activate することを習慣にしてください。
4. 仮想環境を終了するには
deactivate
④ pip でライブラリをインストールする
pip は Python のパッケージ管理ツールです。テスト自動化でよく使うライブラリをインストールしてみましょう。
必ず仮想環境を有効化(activate)した状態で実行してください。
まず pip 自体を最新版に更新しておきましょう(推奨)
python -m pip install --upgrade pip
# pytest(テストフレームワーク)
pip install pytest
# Selenium(ブラウザ自動化)
pip install selenium
# Playwright(モダンなブラウザ自動化)
pip install playwright
playwright install # ブラウザ本体のインストール
# requests(API テスト)
pip install requests
インストール済みのライブラリ一覧を確認するには:
pip list
requirements.txt でまとめて管理する
チームで開発する場合や、環境を再現したい場合は requirements.txt にライブラリをまとめて記録しておくと便利です。
# 現在の環境をファイルに書き出す
pip freeze > requirements.txt
# ファイルからまとめてインストールする(環境再現時)
pip install -r requirements.txt
近年は
pyproject.toml で依存関係を管理するプロジェクトも増えています。ただし入門段階では requirements.txt の方がシンプルで取り組みやすいため、まずはこちらから慣れることを推奨します。⑤ VS Code をセットアップする
エディタは何でも構いませんが、Python テスト自動化では VS Code(Visual Studio Code) が広く使われています。無料で使えて、Python サポートが充実しています。
インストールと推奨拡張機能
code.visualstudio.com からダウンロードしてインストールします。
インストール後、以下の拡張機能を追加することを推奨します(VS Code 左側の拡張機能アイコンから検索してインストール)。
| 拡張機能名 | 用途 | 優先度 |
|---|---|---|
| Python(Microsoft) | コード補完・デバッグ・仮想環境連携 | 🔴 必須 |
| Pylance | 高精度な型チェックとコード補完 | 🔴 必須 |
| Error Lens | エラーをコードの横にインライン表示。初心者に特に役立つ | 🟡 推奨 |
| GitLens | Git 操作の補助 | 🟡 推奨 |
VS Code に仮想環境を認識させる
VS Code でプロジェクトフォルダを開いた後、右下の Python バージョン表示をクリックして、作成した仮想環境の Python を選択します。
# または Ctrl + Shift + P(Mac: Cmd + Shift + P)でコマンドパレットを開き
# 「Python: Select Interpreter」を選択
# → ./venv/Scripts/python.exe(Windows)または ./venv/bin/python(Mac)を選ぶ
⑥ 動作確認をする
最後に、環境が正しく整っているか確認します。
pytest の動作確認
プロジェクトフォルダに test_sample.py というファイルを作成して以下を貼り付けます。
# test_sample.py
def test_addition() -> None:
assert 1 + 1 == 2
def test_string() -> None:
assert "hello".upper() == "HELLO"
ターミナル(仮想環境が有効な状態)で以下を実行します。
# 通常の実行方法
pytest test_sample.py -v
# pytest コマンドが見つからない場合はこちら
python -m pytest test_sample.py -v
正常な出力例:
========================= test session starts ==========================
collected 2 items
test_sample.py::test_addition PASSED [ 50%]
test_sample.py::test_string PASSED [100%]
========================== 2 passed in 0.12s ==========================
「2 passed」と表示されれば環境構築は完了です。🎉
実務でよくはまるポイント 7選
⚠️ Python 環境構築ではまりやすいポイント
- Windows で「Add Python to PATH」を忘れた
pythonコマンドが認識されない場合はこれが原因のことが多いです。Python をアンインストールして再インストールし、今度こそチェックを入れましょう。 - venv を activate せずに pip install している
(venv)が表示されていない状態で pip install すると、グローバル環境にインストールされます。source venv/bin/activate(Mac)またはvenv\Scripts\activate(Windows)を実行してから pip を使ってください。 - Mac で
pythonとpython3が混在している
Mac には古い Python 2 が残っている場合があります。python3とpip3を使うか、python.orgのインストーラーを使うと混乱を避けられます。 - Windows PowerShell で activate が「セキュリティエラー」になる
PowerShell の実行ポリシー制限が原因です。管理者権限で PowerShell を開き、Set-ExecutionPolicy RemoteSignedを実行してから再試行してください。
⚠️ 組織が管理しているPCでは実行ポリシーの変更が禁止されている場合があります。社内ポリシーを確認してください。 - pytest コマンドが見つからない
venv が activate されているか確認してください。また、python -m pytestのように python 経由で実行する方法も有効です。 - requirements.txt からインストールしたのに import エラーが出る
仮想環境が有効化されているか確認してください。VS Code で開いている場合は、右下のインタープリター選択が正しい venv を指しているか確認しましょう。 - プロジェクトルート以外から pytest を実行してモジュールが見つからない
必ずプロジェクトのルートフォルダからpytestを実行してください。サブフォルダに移動して実行すると import が解決できなくなることがあります。
よくある質問(FAQ)
コミットしないのが一般的です。venv フォルダは .gitignore に追加し、代わりに requirements.txt(または pyproject.toml)で依存関係を管理します。リポジトリをクローンした人は pip install -r requirements.txt を実行すれば同じ環境を再現できます。
本記事執筆時点では Python 3.12.x を推奨します。最新バージョンは一部ライブラリが対応していない場合があるため、1つ前のマイナーバージョンが安全なことが多いです。使用するライブラリ(pytest・Selenium・Playwright)の公式サポートページでバージョン互換性を確認してください。
コマンドラインから手動で実行する場合は毎回必要です。ただし VS Code でプロジェクトフォルダを開いている場合は、インタープリターを正しく設定しておけば自動で認識されます。VS Code のターミナルを使えば activate を手動で行わなくてもよいケースが多いです。
複数の Python バージョンを切り替えて使いたい場合は pyenv が便利です。ただし入門段階では pyenv のセットアップ自体でつまずくことがあるため、最初は公式インストーラーか Homebrew でシンプルにインストールし、必要になったら pyenv を検討する方が進めやすいです。
データサイエンス向けには Anaconda が便利ですが、テスト自動化(Selenium・Playwright・pytest など)には通常の Python + venv の組み合わせの方が環境がシンプルになります。既に Anaconda を使っている場合は conda create で仮想環境を作ることもできますが、ライブラリの互換性で問題が起きやすいため、テスト自動化専用に通常の Python 環境を別途作ることを推奨します。
PyCharm(JetBrains)も人気のある選択肢で、Python 専用のため補完機能が優秀です。Community エディションは無料で使えます。テスト自動化では VS Code と PyCharm のどちらかを使っているエンジニアが多い印象です。どちらを選んでもテスト自動化の学習には支障ありません。
まとめ
| ステップ | ポイント |
|---|---|
| ① Python インストール | Windows は「Add Python to PATH」を忘れずに |
| ② バージョン確認 | python --version でバージョンが表示されれば OK |
| ③ venv 作成・有効化 | プロジェクトごとに作成。(venv) が表示されれば有効 |
| ④ pip でインストール | 必ず venv を有効化してから実行する |
| ⑤ VS Code 設定 | Python 拡張機能を入れて仮想環境を選択 |
| ⑥ 動作確認 | pytest で「2 passed」が表示されれば完成 |
環境構築が完了したら、次のステップとして pytest の基本的な使い方や Selenium のセットアップに進みましょう。
上の関連記事から次のステップを選んでみてください。
環境構築は一度しっかり整えてしまえば、あとはコードを書くことに集中できます。焦らず1ステップずつ進めてください。

